■特許庁料金改定■ 2004年1月



【はじめに】

 平成16年4月1日から、特許出願料や審査請求料の改定が実施されます。主な内容は、次の通りです。

(1)改定後の料金は、原則として平成16年4月1日以降の出願に適用されます。

(2)3月31日までに出願し、4月1日以降に審査請求すると、費用が安くなります。

(3)審査に着手していないときは、審査請求料の返還が認められます。

(4)4月1日以降は、それ以前の出願であっても、手数料減免制度の適用条件が緩和されます。

以下、順に説明します。

 

【どのように料金体系が改定されるか?】

 現行の料金体系と、改定後の料金体系を比較して示すと、以下のとおりとなります(単位:円)。

 

手続

平成16年3月31日まで

平成16年4月1日以降

備考

特許出願

21,000

16,000

安くなる

審査請求

84,300+2,000×請求項数

168,600+4,000×請求項数

倍に高くなる

第 1〜 3年の各年特許料

13,000+1,100×請求項数

    2,600+   200×請求項数

大幅に安くなる

第 4〜 6年の各年特許料

20,300+1,600×請求項数

    8,100+   600×請求項数

かなり安くなる

第 7〜 9年の各年特許料

40,600+3,200×請求項数

  24,300+1,900×請求項数

安くなる

10〜25年の各年特許料

81,200+6,400×請求項数

  81,200+6,400×請求項数

同じ

 


 例えば、請求項数8の場合について金額を示すと、次のようになります(単位:円)。なお、2001年における出願1件あたりの平均請求項数は7.6でしたので、請求項8を選びました。

 

手続

改定前

改定後

出願人の負担

特許出願

21,000

16,000

−5,000

審査請求

100,300

200,600

+100,300

第1〜3年の各年特許料

21,800

,200

−17,600

第4〜6年の各年特許料

33,100

12,900

−20,200

第7〜9年の各年特許料

66,200

39,500

−26,700

10〜25年の各年特許料

132,400

132,400

変わらず

 

 

 15年間権利を維持したとすると、総合計で98,200円ほど料金が安くなります。しかし、特許料を第5年分まで支払って第6年分を支払わない場合は、総合計で印紙代は高くなります。

 

【改定後の料金の適用はいつから?】

 上記料金改定は、平成16年4月1日以降の出願について適用されます。

 ただし、平成16年3月31日までの出願であって、4月1日以降に審査請求が行われる出願については、

(1)審査請求料は、現行の安い料金,

(2)特許料については、改定後の安い料金,

が適用されます。従って、出願予定があるときは、平成16年3月31日までに出願されることをお勧めします。また、既に出願した案件については、審査請求期限が平成16年3月31日までに到達する案件や、審査をお急ぎになる案件を除いて、平成16年4月1日以降に審査請求されることをお勧めします。

 

【権利化の可能性が低いときは?】

 このように、審査請求料が高額なため、特許にならなかった場合の損失は拡大します。審査請求時点で権利化の可能性が低いような案件は、実用新案登録出願に出願変更する方法もあります。例えば、上述した請求項8の場合を実用新案に出願変更する場合に必要な印紙代は、出願料及び3年分の登録料の合計で53,600円です。

 

【審査請求料の返還を受けられる?】

 以上のような高額になった審査請求料については、返還制度が導入されます。現行法制では、このような返還制度がなく、一度支払った審査請求料は戻ってきませんでした。このため、出願人は、権利化を必要としなくなった場合、そのまま出願を放置していました。ところが、返還制度の導入により、権利化を必要となくなったときは、出願を取下げもしくは放棄することで、審査請求料の一部(半額のようです)が戻ってきます。意匠への変更も可能です。

 

 平成16年4月1日以降の返還請求に適用されますので、それ以前の出願について支払った審査請求料も返還の対象となります。従って、既に審査請求を行った案件でも、権利化の必要性を一度見直し、不要なものは取下げないし放棄を行って、平成16年4月1日以降に審査請求料の返還を受けることが可能です。なお、返還請求は、出願の取下げもしくは放棄から6ヶ月以内となっています。従って、既に出願の取下げないし放棄を行った案件については、平成15年10月1日以降に取下げないし放棄されたものが、返還の対象となります。

 

【審査請求料や特許料の減額や免除は?】

 現在は、概略法人税が課されていない資本金3億円以下の法人であって設立5年以内の場合には、職務発明の出願について審査請求料が半額,特許料が3年間猶予となっていますが、これが「設立10年以内」に緩和されます。また、中小企業創造活用促進法の認定事業や新事業創出促進法に基づく補助金等交付事業,中小企業経営革新支援法の研究開発事業についても、職務発明の出願について審査請求料が半額,特許料半額となります。詳細はお問合せ下さい。

 これらの減免制度は、平成16年4月1日以降の審査請求や特許料納付に適用されます。すなわち、平成16年3月31日までの出願の審査請求料や特許料に対しても、平成16年4月1日以降に納付する場合には適用されます。



梶原内外特許事務所