■Last Updated on 2 January 2004■


 目 次 
弁理士試験のテキスト
知的財産権全般及び特許・実用新案 
意匠
商標・不正競争
審判
侵害・訴訟
ライセンス
外国
安く購入するには???


 弁理士試験のテキスト 


 特許庁編「工業所有権法令集」発明協会
 試験・実務のいずれにも使う。これを参照して法文を最終確認する。我が国の工業所有権制度を最も簡潔に表現したものでもある。法律が改正されたからといって古いものを捨ててはいけない。それは、古い法令が適用される事案があるからである。

特許庁編「工業所有権法逐条解説」発明協会
 通称青本。でも表装は緑である。本書は、特許法等の国会審議における政府答弁をまとめたもので、政府の公式見解といってよい。最も権威あるもので、基本書中の基本書である。これを100回読めば、弁理士試験に合格するといわれている。

吉藤幸朔著「特許法概説」有斐閣
 特許法の基本書。審決や判決で引用されることも多い。基本的な判例などもまとめられており、実務でも結構使用する。

高田忠著「意匠」有斐閣
 意匠法の基本書。どちらかというと古典であるが、意匠法があまり改正されないために、基本書として使われている。しかし、高田先生の説は、必ずしも受験生の間で支持を受けているわけではない。今回の意匠法改正後は、基本書としての地位を失うかも。

網野誠著「商標」有斐閣
 商標の基本書。大作,力作であるが、正直言ってかなり重い。これを読みこなすのは大変である。基本書というよりは学術書といったほうが適切である。このため、商標については、逐条と答練会の資料だけですましてしまう受験生も結構いるようだ。網野先生には申し訳ないが、少しでも早く合格したいのであれば、懸命な選択である。

後藤晴男著「パリ条約講話」発明協会
 パリ条約の基本書。これが出るまでは、ボーデンハウゼン教授の「注解パリ条約」が基本書であった。このテキストは、訳文であることもあって非常に難解で、受験生は苦労したものである。その点、後藤先生のテキストは、きわめて平易に解説されており、これに代わるテキストは見当たらない。

橋本良郎著「特許協力条約解説」発明協会
 PCTの唯一のテキスト。逐条毎に解説されている。PCTは手続を規定した条約であるため、非常に退屈な科目である。受験生は、答練会の資料を中心に勉強しているようだ。


 知的財産権全般及び特許許・実用新案 


嵯峨明雄著「特許ネゴシエーターの技法」産業科学システムズ
 今後、益々重要になるであろう特許関係の交渉技法に触れるもので、類書を見ない。画期的な本である。

渡部俊也・隅蔵康一著「TLOとライセンス・アソシエイト」株式会社BKC
 ひところ大騒ぎされたTLOであるが、最近は景気の低迷も手伝ってやや勢いがない。著者いうところの中村修二さんがノーベル賞を取れなかったことから多少腰砕けの感もあるが、成功例を見て元気を出してもらいたい一冊である。

竹田和彦著「特許がわかる12章」ダイヤモンド社
 特許の仕事なんかやったことがないのに、急に特許担当に抜擢されたとかいう場合など、一夜漬けでとにかく一通りの知識を身に付けなければならないとしたら、本書がお薦めである。この本さえ読めば、一晩で何とか格好をつけることができる。また、教養の一つとして特許なるものがどんなものかちょっと勉強してみようという向きにもお薦めである。それほど、本書は、わかりやすく、かつ、最新の事情も加味した内容となっている。

竹田和彦著「特許の知識」ダイヤモンド社
 もし、社会人が1冊だけ特許の本を勉強するとしたら、断然このテキストである。弁理士試験用のテキストは、大学の法学部で勉強するような雰囲気であるが、このテキストは実務的に解説されており、社会人にはぴったりである。これを10回読めば、特許担当者と対等に渡り合えるようになる。ちょっとボリュームがあるので、一人で読むのは多少疲れるかもしれない。そういうときは、研究室で回し読みをするとよい。それだけの価値があるテキストである。エンジニアの皆さんに超お薦め。

特許庁編「工業所有権方式審査便覧」発明協会
 方式審査の基準がまとめられており、補正指令はこれに基づいて発せられる。補正指令に応答するための基本中の基本テキストである。

特許庁編「特許・実用新案審査基準」発明協会
 実体審査の基準がまとめられている。こちらのほうは、法文の適用や解釈を争うような場合に必要である。

稲葉慶和著「拒絶理由通知との対話」「異議事件とつき合う話」発明協会
 特許担当者必見である。特許実務で中間処理や異議申立に携わる以上、最低限これらの本は読んでほしい。

「工業所有権実務体系」発明協会
 1出願手続方式の基礎知識(山崎浩輝著),2出願手続方式の実務(同),3特許の実務(鈴木伸夫著),4意匠の実務(森則雄著),5商標の実務(中村英夫著),6登録手続の実務(工藤莞司著),7審判の実務(古宮一石著)の全7巻からなる。特許庁における実務のあり方が、最も体系的にまとめられたテキストである。下手な研修会や講習会よりもはるかに役に立つ。これを勉強すれば、方式のプロになれるといってよい。特許事務所に超お薦め。

「特許商標異議申立ての手引き」通商産業調査会
 知的財産実務シリーズの一つである。異議申立てというのは頻繁にある手続ではないので、本書のようなまとまった書籍があると便利である。

山崎浩輝著「特許方式問題の所在」通商産業調査会
 知的財産実務シリーズの一つである。方式の集大成といってよい。もし、方式について一冊だけ本を読むとしたら、これがおすすめである。

登録実務研究会編著「登録の実務」通商産業調査会
 登録実務に関する書籍は非常に少なく、本書は非常に貴重な一冊である。超レアもの。

特許庁出願支援課登録室編著「工業所有権登録の実務」経済産業調査会  
 登録実務に関する最新書籍。上記「登録の実務」は入手困難でかつ古い。

佐伯とも子著「特許出願の拒絶理由への対応」通商産業調査会
 知的財産実務シリーズの一つである。よく体系だてられているが、1歩踏み込んだ裏技的な記述がない点で不満が残る。

ソフトウエア情報センター編「日米ビジネスモデル特許272」日刊工業新聞社
 ビジネスモデルに関する書籍は多数があるが、そのほとんどがブームに乗った興味本位の内容である。本書は、実際に特許になったものを扱っており、ビジネスモデル特許の実態を知ることができ、実務的には極めて有用である。

特許庁審判部編「判決から見た進歩性の判断」発明協会
 特許制度とは、つまるところ技術を評価する制度であり、その評価基準のうち最も重要で不透明なものが進歩性である。この難解な課題に一歩踏み込んだものとして一読に値する。実務的には、非常に参考になるテキストである。


 意匠 

特許庁編「意匠審査基準・意匠審査便覧」発明協会
 審査基準と審査便覧が一冊になっていて便利である。

牛木理一著「判例意匠権侵害」発明協会
 意匠は、結局のところ類似をどう判断するかがすべてであるといってよい。このテキストは、それに対する最も権威ある回答である。これ一冊で、意匠のすべてが分かるとはいいすぎか。

編集委員会編「意匠法実務提要」ぎょうせい
 意匠全般について一通りまとめられている。具体例が豊富でわかりやすい。


 商標・不正競争 


小谷武著「商標教室」株式会社トール
 実例に即した解説が非常に分かりやすい。

経済産業省知的財産政策室編著「逐条解説不正競争防止法」有斐閣
 平成13年改正の不正競争防止法の逐条解説であるが、ドメインネームに関する事例集が収録されており、こちらのほうも充実している。

工藤莞司著「商標審査基準の解説」発明協会
 審査基準を、実例を加えて解説している。実務的には審査基準そのものよりもこちらのほうが役に立つ。分かりやすい好著である。

特許庁商標課編「商標審査基準」発明協会
 どういうわけか、この商標審査基準だけが小さな小冊子の形式となっている。実務よりもむしろ弁理士試験の参考書として使われている。

特許庁商標課編「類似商品・役務審査基準」発明協会
 実務的に非常に重要である。これがなければ、商標出願における商品の特定はできない。

青山絃一編著「最新不正競争防止法」通商産業調査会
 不正競争防止法の概説と、最近の事例・判例が簡潔にわかりやすく解説されている。へたな推理小説よりも面白い。

竹田稔編著「知的財産権侵害要論(不正競業編)」発明協会
 東京高裁判事の竹田先生のテキストである。こちらのテキストは法律的に記述されている。

川津義人著「商標実務入門」発明協会
 商標の入門書としてお薦め。これ一冊を繰り返し読めば、商標担当者として十分通用する。


 審判 

特許庁審判部編「審判便覧」発明協会
 審判の運用についてまとめられている。審判は事件数が少ないためあまり参照することはないが、審判事件を扱う限り必携である。

特許庁審判部編「審判請求のてびき」発明協会
 審判請求書の様式など、実務的には非常に重宝する。具体的でわかりやすい。ガイドラインなども網羅されている。

編集委員会編「工業所有権審判実務提要」ぎょうせい
 審判実務について一通りまとめられている。具体例が豊富でわかりやすい。


 侵害・訴訟 

松尾和子,佐藤恵太編著「ドメインネーム紛争」弘文堂
 ドメイン紛争について体系的に解説した書籍としては初めてのものであり、極めて意義深い。

弁理士受験新報No.37「民事訴訟法コンメンタール」法学書院
 弁理士の杉光一成さんのテキストである。工業所有権法と関係する民事訴訟法のコンメンタールで、大変わかりやすい。

本間崇著「特許訴訟読本」弁理士会
 弁理士のための民事訴訟法という副題の通り、弁理士のためのテキストである。しかし、内容は弁護士本間崇の民事訴訟法というにふさわしい。この個性的なところが魅力的なのだが。

中野哲弘著「わかりやすい民事訴訟法概説」信山社
 入門書として好適である。民訴関係の書籍を一冊だけ読むとしたらお薦めである。

小林秀之編著「新民事訴訟法の解説」新日本法規
 司法試験向きというよりは、学生向きのテキストである。しかし、それだけにわかりやすく説明されている。改正法と規則の対照表もあって便利である。

原増司著「証拠調べの話」発明協会
本の題名の通り、語り口調で懇切に記述されている。

馬瀬文夫著「特許請求の範囲」発明協会
 クレームの解釈について最も体系的にまとめられている。

竹田稔編著「特許審決等取消訴訟の実務」発明協会
 東京高裁判事の竹田先生のテキストである。審決取消訴訟を代理するときは、最低限これぐらいは勉強しておかないとしかられそう。

舟本信光・井上繁規共著「特許訴訟の実務」新日本法規
 侵害訴訟、審決取消訴訟、行政訴訟、契約に関する訴訟など、特許に関係する訴訟について、最も体系的にまとめられている。

犬飼新平著「裁判例が教えるビジネス戦略」発明協会
 一つの判例が数ページでまとめられており、大変読みやすい。通勤電車の中で十分読める。


 ライセンス 


 発明協会研究所編「技術取引とロイヤルティ」発明協会
 一番問題となるのが技術の値段であるが、それについて最も体系的にまとめられたテキストである。

上杉秋則編著「特許・ノウハウ・ライセンス契約ガイドライン」商事法務研究会
 契約の内容によっては独占禁止法違反となる。本書はそれに対する指針を与える。Q&Aの形式で記述されている。

野口良光著「国内実施契約の実務」発明協会
 ライセンス契約について法律的に解説されている。

矢野輝雄著「わかりやすい特許ライセンス契約の実務」オーム社
 初心者にはこちらの方がわかりやすい。入門書として好適である。


 外 国 


高岡亮一著「アメリカ特許法実務ハンドブック第2版」中央経済社
 2002年までの改正を網羅している。見やすく、分かりやすい。通り一遍の無味乾燥な解説ではなく、極めて親切で、実務的にも非常に役立つ内容となっている。米国特許制度について、1冊だけ勉強するとしたら、断然このテキストをお奨めする。

朝日奈宗太著「外国特許制度概説,第8版」東洋法規
 今回の改正では、実用新案制度に関する記述が追加された。ベトナムやインドなど最近注目されている国々の記述もある注目の一冊である。1年もすればいずれかの国で制度が改められるので、加除式としたほうが効率的ではないだろうかと思うのだが。

藤芳寛治著「MPEPを読む」Aippi・Japan
 MPEP(米国特許審査便覧)の訳文であり、よく使用される章が対訳形式で解説されている。本書には、MPEP2100章(特許性、日本の審査基準)が含まれているが、この章は、米国審査官がオフィシャルアクションで必ず引用してくるところである。この章の訳出は本テキストが始めてであり、非常に好評で、訳者である藤芳先生の熱意のほどが窺がえる。ぜひ、ご一読いただきたい。

国際出願研究会編「PCT出願のガイド」発明協会
 PCT出願の際には必須である。なお、PCT出願の際には、特許庁国際出願室の窓口で「国際出願の手続」というテキストをもらうとよい。このテキストを見れば、PCT出願について一通り解説されている。

WIPO「PCT出願人の手引」Aippi・Japan
 PCTに関する最も体系的にまとめられた権威あるテキストである。ただし、相当ボリュームがあり、値段も高い。

EPO「欧州特許の取り方」Aippi・Japan
 欧州特許出願のためのテキストである。意外に簡潔にまとめられている。

ヘンリー幸田著「米国特許法逐条解説」発明協会
 著名なヘンリー幸田先生のテキストである。なんといっても、日本語はわかりやすい。

兼坂学著「米国特許出願の手引」東京布井出版
 米国特許出願について、最もわかりやすく解説されているテキストである。お薦めの一冊である。

尾上道雄著「万国工業所有権情報総覧」通商産業調査会
 特許庁資料館館長であった尾上さんが、米世界各国の工業所有権制度の概要と公報についてわかりやすく解説している。外国公報に接する機会は今後増えることがあっても減ることはない。各種の公報を扱う部門には必携である。

飯田幸郷著「英文明細書翻訳の実務」「英文明細書作成の実務」発明協会
 著名な飯田先生のテキストである。英文明細書に関する唯一のもので、各項目について、豊富な例題とともに簡潔にまとめられている。

飯田幸郷著「英和特許用語辞典」「和英特許用語辞典」発明協会
 これらも、飯田先生のテキストである。よくまとめられているが、語数がちょっと不足気味である。

特許庁技術懇話会編「特許実務用語和英辞典」日刊工業新聞社
 拒絶理由通知などの英文が掲載されており、実務上非常に便利である。


片岡英樹編著「特許法務英和・和英辞典」国際語学社
 英和編,和英編,付録編の3つの部分からなっている。明細書などのフォームに関連する記述もある。初心者から専門家まで幅広く利用できる。英和と和英がいっしょになっていてなかなか便利。

片岡英樹著「テクニカル・ライティング 50のルール」国際語学社
 技術英文作成者が見落としやすく、また、知らなければならないルールが簡潔にまとめられている。細かい部分の指摘もあり、必要なときに見れるルールブックとして最適。初心者、文系の人にもおすすめ。

後藤浩司著「特許ライセンス英語表現辞典」オーム社
 これだけの内容がありながら、こんな値段で儲かるのだろうかという充実したテキストである。ライセンス英語には必須である。

飯田幸郷著「40カ国特許出願マニュアル」発明協会
 収録国数が豊富である。独和及び仏和の特許用語辞典がある。

外国特許出願研究会著「外国特許出願の知識と実務」発明協会
 手続上の留意点について非常に具体的に記述されており、実務的である。




 安く購入するには??? 

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